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50年前の亡霊

母親を介護施設に入れたのは先に書きました。
一安心したのもつかの間、痴呆症が進んでいるようです。

特に年末から正月に掛けて毎日電話がスゴい。
出ないと狂ったように連続で電話が掛かってきます。

電話に出て話しを聞いてみると、、、
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写真は関係なく夜明けの月

電話に出て話しを聞くと「お金がなくなった、どうしよう・・・」ということ。

お金がなくなってここに居られなくなる。どうしたらいい?という。

お金が無くなるというのは手持ちの現金のことなのか、全財産なのか?手持ちの現金がなくなるのなら、それは誰かに盗まれたか、自分で使って忘れたか?しまった場所を忘れてしまったか?だろう。

手持ちの現金ではなく、預金通帳に入っているお金がないという。

そんなバカなことある訳ない。

今の日本だと自分の口座でもまとまったお金を出すのが難しい。しかも、それが90歳のお婆さんなら余計銀行側も警戒するだろう。他人がその口座からお金を出す、もしくは他に振り込むことも難しい。

だからほぼその可能性はないのが今の日本。

年末の30日、僕が高崎に帰省したときに施設に行って通帳を確認したらやっぱりお金はそのままある。

母親の被害妄想だ。

お金はあるから心配しないでここに居ていいんだよ、って聞かせて帰ってきたが、、、

年明け、また電話。

また訳の分からない事を言い出してる。

「おまえの会社が倒産したって言うじゃない。どうしてそんな事になったの?」って、、

誰からその話を聞いたのか?そう言う話をしても「私は心配で夜も眠れない」って

もちろん僕の会社は倒産していない。仕事も順調。

会社が倒産、というのは昔、もう50年も前に父親がやっていた会社が倒産したことがあって、当時はまだ離婚もしていなかったから母親もその時の記憶が強烈だったようで、その記憶がよみがえってしまったようだ。

当時、家業である会社が倒産して、毎日のように借金取りが家に押しかけてきた。僕は中学生だったが、その応対をしていた。なぜって親は帰ってこなかったから。借金取りが来るから夜遅くに帰ってきてた。父親も母親も祖母も金策に走り回っていたのだ。

それから母親は借金返済のために水商売へ、父親はやっていた会社が建設業だったので、隣町の建設業の会社に何とか潜り込んだ。

倒産の前からだったけど、夫婦仲は最悪で、いつも喧嘩だった。そりゃそうだろう、お金の切れ目が縁の切れ目。

この倒産から両親はやがて離婚へ。

僕も一時は高校に進学せずに働いた方が良いのか?と思っていたくらいだから。

父親のやっていた会社が建設業だったから僕はその会社を継ぐつもりだった。将来のことを考えると他の選択肢はなかった。が、その会社がなくなったわけで、僕の将来も白紙になってしまった。
そんなわけで写真の道に進むことにしたのだ。どうせなら自分の好きなことやった方がイイかなって。

倒産は多くの人の人生を変える。

僕は東京で新聞配達しながら写真専門学校へ。家に金がないのはよく分かっていたから、東京で生きていくのに親は当てに出来なかった。写真をやっていくなら地方ではダメで東京に行くしかない。東京でどうやって写真関係の仕事が出来るのか?取りあえず写真学校に行ってみようと思った。お金は無かったから新聞奨学生を選択したのだ。

今は何とかなってカメラマンやっているけど、あの倒産がなかったらたぶん高崎で建設業だったのかも。

母親はその時を思い出してしまったようだ。

「あの人がお金持っていってなくなったんだよ!どうしたらいいんだい・・」って

あの人って言うのは父親だろう。

いくら大丈夫だからって言い聞かせてもまったく理解できない。預金通帳の数字を見せて「ほら大丈夫だろう?」って言ってもその数字が理解できない。

なんでこんなことになってしまったんだろう。

良かれと思って介護施設に入ったけど、結局は痴呆が進んでしまったようだ。環境の変化に頭が着いていかなかったんだろう。昔の記憶が出てきてしまってそのつじつまを合わせるような妄想を創り出す。

かわいそうだけど、こちらも毎日何十回と電話が来たのではたまらない。今は携帯電話があって、出ないとリダイヤルが簡単だからタチが悪い。今週の月曜日なんかは夜中の3時に電話が掛かってきた。自動で留守電になるのだが、聞いてみると心配で眠れないとか、、、もういい加減にしてくれ。

今週からもう一つ受けているデイサービスが年明けの休みから回復するので、そちらに行くようになって少しは落ち着いたようだ。

今日、施設の人と電話して話したが、要介護認定を上げていきたいという方針。

介護度が上がればデイサービスの日数を増やせるからそれで気持ちも落ち着くんじゃないだろうか。

まさか50年も経ってその時の事を思い出すとは思わなかった。

いつか僕もボケたとき、僕は何を思い出すんだろうか?


by tatsphoto | 2026-01-08 18:45 | 心と体 | Comments(0)

フォトグラファー湯浅立志のブログです。


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